せん子のふつつか嫁日記

ふつつかな嫁が書き綴ります。ごはんのこと、日々のこと。

秋が来れば思い出す 病気のこと

秋が来ましたね。

朝起きると部屋の中がすっかり寒く、すこし震えながらも、布団が気持ちいい季節になりました。

秋は思い入れの深い季節です。

誕生日があったり、大好物があったり…。

秋晴れの美しい日は特に、近年夫が入院した時のことを思い出します。

 

ある秋の日、結婚して同居して1カ月足らずで救急車で運ばれ、夫が入院するという衝撃的な出来事がありました。

まだまだ人として未熟で、社会のこともあんまりよくわかっていないようなぼんやりとした私は、吃驚してオロオロするばかりでした。

慣れない土地で入院先の病院を一人で探しました。

いつも楽しそうで面白いことばかり言って、目の前で泣く事なんてなかった夫が、

苦しそうな顔で痛みのあまり涙を流している様子を見ると、胸が張り裂けそうでした。

「変わってあげられたらいいのに」と何度思っても、当然変わることもできません。

無力感に苛まれながら、あまり話したことがなかった夫の家族に連絡を取りました。

お母さんにたくさん支えてもらいながら手術することが決まり、1か月ほど一人で入院する病院に通いました。

病院が少し山の上に(高台?)あってアクセスが悪かったため、ある時はタクシーで通い、ある時はバスで降り間違え病院までウォーキングする…というふうに。

私が疲れては元も子もないのはわかりながらも、病気をしたことがない上、耐えがたい痛みに毎日うなされる夫が心配でほとんど毎日通いました。

通ってる間、いつも自信満々の夫が不安と痛みにおびえる姿を見て、「いつも笑っていよう!」とたくさん元気を運ぶように心がけました。

若い妻だからって見くびられて夫が変な扱いを受けることのないよう、しっかりと治療してもらえるように態度に気をつけました。

地方で生まれ育った私は、そういうことがままあることを、感覚的に知っていたからです。

笑顔でいながらも、何度も「どうしてもっと早く気付いてあげられなかったんだろう」というショックを誰にも言えず、ずっとそんなことを思って過ごしていました。

その季節が秋です。

昼はとてもさわやかな空気と秋晴れが、私の沈んだ心を前向きにさせました。

夜は寒くなってきた空気と澄んだ夜景が、一人でいる家がこんなに寂しかったんだっけ、と切ない気持を助長させました。

 

その秋から1年2年と、ゆっくりと闘い続け…

今こうして素直に思い出せる秋が来ていることがとても感慨深いです。

あの時は、お風呂で中島美由紀の「時代」を聞きながら号泣していましたね!

信じられないことに、笑って話せる日が本当に来ました。

 

闘病生活はまたいつか詳しくお話しできたらと思います。

気づいたこと、たくさんありますので、何か少しでも誰かの役に立てたら…と。

 

辛い経験でしたが、運が良かったと思っています。

いつでもフルパワー、無理を無理と思わない耐久力がありすぎる夫は体に気を使うことができるようになりました(まだ少し心配ですが…)。

のんきでぼんやりしていた私は、守るものが出来たことで自分にできる具体的なことを考えるようになりました。

ま、自分の良くなった点はうまく整理できませんけど、でもつらい経験によって何かが奪われ、確実に何かがもたらされたことを感じています。

夫婦の絆も強まりました。

 

まだ闘いが終わったとは言い難いですが、しっかりきっちり歩んでいきたいです。

写真はいつぞや撮った旧古河庭園の咲き誇るバラ。毎年見られるのでしょうか…。 

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